風俗やったら、人生終わり。
わたしたちはとっくに終わった存在なのだろうか?
風俗嬢は明るい未来の夢を見るか?
「風俗で生活してる女なんて人生終わってるよな」
顔も名前も知らない誰かの心無い言葉には、もう腹が立つことも心が痛むこともなくなった。
ネットの書き込みなんかにメンタルを左右されるようではこの世界で生き残っていけないし、風俗に対する世間の偏見や嘲りなんてもう聞き慣れてしまったから。
ある程度は後ろ指をさされる覚悟でこの業界に飛び込んだのだ。
自分の仕事にプライドだってあるし、他人にとやかく言われる筋合いなんて無いと思っている。
でも、こんな得体の知れない匿名の悪口でさえ強くは否定できない。
「職業に貴賎なし」とは言うけれど、世の中の大多数の人たちが風俗で働くキャストの女性に対してこう思っているのだろう。
この言葉の通り、風俗だけで生活してきた女性に対して社会はけして甘くはない。
もう何年もキャストとして頑張ってきた。
いつまでも続けられる仕事ではないのは十分理解しているし、いつかはきっぱり辞めなけばいけないと観念もしている。
でもある日、ふと立ち止まった時に思うのだ。
自分には風俗以外何も無い。
風俗という仕事に身を染めてしまったら、もう二度と這い上がることはできないのではないか?
(「這い上がる」なんて、まるで最下層にいると自覚しているみたいで悲しいけれど)
そんな言いようのない将来への不安は、年齢を重ねるにつれてより現実に影を落とす。
その時のわたしは、風俗嬢としての明るい未来を想像することはできなかった。
問題の無いわたしたちの大問題
風俗で働く女性は転落の象徴。
どうしようもなく惨めな存在。
そう思っている人は今でも少なからずいるはずだ。
確かに今でも借金や生活苦の女性がやむを得ず身体を売ることもあるだろう。
けれど、現在風俗に従事するのはそんな女性ばかりではない。
ここ十数年で性に対する意識や価値観は大きく変化し、風俗という特殊な仕事へのハードルは限りなく低くなったと言えるだろう。
普通の大学生やOL、主婦だってお小遣い稼ぎや副業として風俗バイトをするのが珍しくなくなり、「素人」や「処女」が売りになるような時代だ。
ソープにピンサロ、ヘルスにオナクラ、エステやSM…様々な業種が栄え、次々と新しいお店が増え続けている。
日本の成人女性の約20人に1人は風俗嬢だそうだ。
無論この中には、風俗一本で生活している女性もたくさんいる。
シングルマザーとか、家族を養うために必死に働いている女性も多い。
「ラクしてお金を稼ぎたいから風俗で働くなんて短絡的」
「そんな仕事しかできないなんて可哀想」
いつだって風俗嬢は色眼鏡で見られて、とくにそれを本業とする女性は非難され軽んじられる。
確かに、風俗は女なら誰だってできる仕事かもしれない。
でも賢くなければ稼げないし、根性がなければ続けることはできない。
専門的な知識やスキルが無くても飛び込める世界だとは言え、けして容易くお金が手に入る仕事ではないと思っている。
みんな色々な事情を抱えて風俗で働いている。
それが良いか悪いかなんて議論は、ここですべきではないだろう。
ある意味で一線を超えるとは言え、わたしたちにとって風俗で働いてお金を稼ぐことが重大な問題なのではない。
実際、目標を持って頑張る子やそれを生活の糧にしている子にとって風俗は強い味方となっているのだから。
風俗という選択肢があり、それを選んだ。
ただそれだけ。
きっと問題はその後。
自分の足で立って歩いていくための術を、わたしたちは知らなかったのだ。
風俗嬢のセカンドキャリア、あるいは第二の人生における風俗との関わり方
風俗で働ける年齢になってからすぐにこの世界に足を踏み入れ、長年この仕事だけで食べてきた。
辛いことや苦しいこともあったけれど、人と接するのが好きだったし、風俗の仕事は性に合っていたんだと思う。
だからかもしれない。
風俗業界がわたしのすべてで、それ以外へ視野を向けようなんて考えもしなかった。
将来お店を開業したいとか資格を取りたいとか、そんな明確な目標もなくただ漠然と働いていたある日、唐突に「そうだ、風俗上がろう」と思ったのだ。
その日、久々にお茶を挽いてしまったからかもしれない。
高校時代の友人から結婚式の招待状が届いていたせいもある。
とにかく本当に何の前触れもなく、このままじゃいけないと感じたのだ。
でも、いざちゃんとした会社に就職しようと思っても、ろくな社会経験もないわたしには履歴書や職務経歴書に書けるものなんて無かった。
どんなにキャストとして華々しく活躍していても、一般企業ではそんな経歴は何の役にも立たない。
そんな現実、わかりきっていたことだ。
いくら体力に自信があっても、年齢が高くなるにつれて若い頃と同じような金額を稼ぐのは難しくなる。
女性としての賞味期限なんて自分で言いたくはないけど、もうちやほやされることも無い。
もしかしたらもう手遅れなのかもしれないという焦燥感の中で、わたしは改めて自分の経歴を振り返ってみた。
風俗しかやってこなかったんだから、わたしには風俗しかないじゃないか。
他人より優位に立てることと言ったら、本当に風俗経験くらいしか無かった。
「セカンドキャリア」なんてかっこいい言葉がある。
定年退職した中高年や育児を終えた女性が、次なる人生を送る時に従事する第二の職業のことを言うらしい。
プロスポーツ選手が引退したらコーチになったり、脱サラした人が全然違う職業で成功したりする例がある。
じゃあ風俗嬢の「第二の人生」はどうだろうか?
「風俗嬢なんて一度なったら普通の女性としては生きられない」なんて何も知らない人は軽々しく言うけれど、わたしたちだってその後の人生は続いていく訳で。
もちろん風俗経験なんて関係なく、結婚して幸せになったり社会に出る人だってたくさんいる。
でも、風俗の経験がネックになって、思うようにいかない女性も少なからずいるはずだ。
そういう女性たちの生き方の選択肢として、少しでも風俗歴を活かせる仕事があればそれは立派なセカンドキャリアになるんじゃないだろうか?
そして、わたしは偶然その求人を見つけたのだ。
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風俗経験を活かす【女性内勤スタッフ】募集|シンデレラグループ風俗求人
女性内勤スタッフなんて、はじめて聞いた職業だった。
女性スタッフのいるお店で勤務したことは一度も無かったから。
面接官はスーツでビシッと決めた、いかにも「社会人」って人だった。
風俗業界の人でこんな真面目そうな人を見るのははじめてだったから何だか新鮮だったし、ちゃんとしてるグループなんだって安心できたのを覚えてる。
「キャストの女の子をケアしてあげたいんですぅ~なんて皆言うけど、ケアが必要なのはあなたでしょ?っていう人多いよ」
正直少し怖かったし、自分の甘い考えをすべて見透かされて言葉が出なくなる場面も多々あって、散々な面接だったと今でも記憶してる。
でも、拙いながら必死に自分の気持ちを伝えた。あんなに頭を使って喋ったのははじめてだったかもしれない。
絶対受からないなと思っていたから、後日採用通知をもらった時はとても信じられなかった。
女性内勤スタッフとしてはまだまだ一人前だなんて言えないし、自分の不甲斐なさに自己嫌悪に陥ることもある。
キャスト時代とは違う苦労も多いけれど、それでも先行きの見えなかったあの頃の不安に比べればどうってことない。
わたしのセカンドキャリアは始まったばかりだ。
陽のあたる場所へ
こうしている今も、風俗の仕事を頑張っている女性が日本中に数え切れないほどいる。
風俗で働く女性は不真面目だなんて思われがちだけど、そんなことは無いと思う。
少なくとも、この世界で生き残ろうとするならそういう女性は自然に淘汰されてしまうだろう。
風俗嬢の多くは、きっと影の存在だ。
それは文字通りこの仕事が夜の業界だと形容されたり、表立っては言えない職業だから。
でも今わたしは限りなく陽のあたる場所にいるように感じるし、お店の女の子たちは皆、さんさんと輝く太陽の下にいるように思う。
彼女たちが無事に羽ばたいていけるようにサポートするのがわたしの役目だ。
刹那的に風俗で働く子も多い中で、長い間風俗のお仕事をしている女性はきっと貴重な存在だ。
風俗で働いていた経歴を隠すのも無かったことにするのも、間違いじゃない。
でももし少しでもそれを活かしたいと思うなら、そういう場所があるんだってことを覚えておいてほしい。
(ある女性内勤スタッフのお話を真翼が編集し、今回掲載させて頂きました。)
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