売春防止法により、店舗型のファッションヘルスや無店舗型のデリバリーヘルス、ホテルヘルスなどのヘルスでは本番行為が禁止されていて、これを破るとお客様や女の子には厳しい罰則があります。
一方、ソープランドでは本番行為が可能となっていて、それを前提としてお客様に利用されています。
同じような性的なサービスを提供しているのに、なぜヘルスで禁止されている本番行為がソープランドでは可能となっているのでしょうか?
これには歴史的な経緯が関係しています。
少しマニアックな話になってしまいますが、売春の歴史を交(まじ)えて説明しましょう。
売春の歴史
第二次世界大戦前
古くから日本では売春は合法なものとして行われてきました。
『万葉集』には、「遊行女婦(うかれめ)」という名前で、売春婦の存在が記されています。
平安時代には、「遊女(あそびめ、ゆうじょ)」と呼ばれるようになります。
遊女とは、元々歌や踊りなどの芸能を行う女性のことを指し、神社で巫女として仕えていましたが、後に神社を離れて各地を旅しながら宿場町や港で、芸能だけでなく売春もするようになりました。
鎌倉時代には、鎌倉幕府が「遊君別当(ゆうくんべつとう)」という遊女を管理する為の役所を設置しています。
尚、「遊君」とは「遊女」のことです。
室町時代には、室町幕府が「傾城局(けいせいのつぼね)」という役所を作って、遊女から税金を徴収するようになります。
尚、「傾城」も「遊女」のことで、元々は為政者が夢中になり過ぎて「国(城)を滅ぼす(傾ける)」ほどの絶世の美女という意味です。
安土桃山時代には、豊臣秀吉も遊女屋の営業を積極的に認めていて、遊女を集めて統制する為に遊郭(ゆうかく)が大阪や京都に造られました。
江戸時代には、江戸幕府公認の遊郭である吉原が設置され、遊郭の代表的存在になりました。
このように政府が税金を徴収することで利益を得たり、性病の蔓延を予防したりする為に積極的に売春を管理・統制していたのです。
ちなみに公的に営業を許可されている娼婦(しょうふ)を公娼(こうしょう)と言い、許可されていない娼婦を私娼(ししょう)と言います。
明治時代以降、外国から「日本では人身売買の温床となっている売春を国家が公認している」と指摘され、公娼制度廃止の動きがありましたが、結局は黙認される形で続いていました。
第二次世界大戦後
これが大きく変わったのは第二次世界大戦後です。
1946年に連合国最高司令部(GHQ)により、吉原など一部の地域を除いて公娼制度が廃止されました。
さらに1958年に売春防止法が施行され、全面的に売春が禁止されました。
ソープランドの誕生
こうして売春が禁止されたその頃、「トルコ風呂」という施設が流行していました。
元々トルコでは、ハンマームという公衆浴場(サウナのような蒸し風呂)で、男性客には男性従業員が、女性客には女性従業員が垢すりやマッサージを行っていたのですが、これが宮廷のハーレム文化との混同や誤解などもあって日本では女性が男性にマッサージを行う施設として普及しました。
そこに売春防止法が施行されたことにより職を失った娼婦たちがトルコ風呂に流入します。
最初は女性が手で男性器をマッサージ(いわゆる「手コキ」)するだけでしたが、次第にサービスが過激になっていき、本番行為までするようになっていました。
しかし1964年に開催される東京オリンピックを控えて取締りが強化されたことで本番行為は禁止となります。
その後、1984年に日本に住むトルコ人留学生が、本来のトルコでの公衆浴場とは異なる性的サービスが行われている「トルコ風呂」という名称の変更を当時の厚生省に訴えたことで、「東京都特殊浴場協会」が新たな名称を公募し、「ソープランド」という名称に変更されたのです。
ソープランドで本番可能な理由
売春防止法で罰則があるのは、お店が売春の為の場所を提供し、女性の勤務を管理する「管理売春」です。
売春自体は禁止されているものの罰則はありません。
ソープランドは、あくまでも女性がお世話をしてくれる入浴施設であって、そこで本番行為が行われていても、それはお客様と女の子の自由恋愛であり、店側は関与していないということになっています。
その為、ソープランドの料金はお店の受け取る入浴料と女の子の受け取るサービス料で別になっています。
また、ローションや避妊具などの備品は、お店が用意したものではなく、個人事業主である女の子が用意しているということになっているのです。
少々無理がある理屈のようですが、公娼制度で売春を認めてきた歴史的な経緯、税収や性犯罪防止などの有用性、売春の事実の立証が難しいことなどから、黙認されているというのが実情のようです。
ソープランドが摘発される理由
しかしソープランドが摘発されたというニュースを時々見聞きしたことがある方も多いと思います。
それではどんな時にソープランドは摘発されるのでしょうか。
もちろん警察は、その理由を明らかにしてはいないのですが、一般的には下記のような理由があると推測されています。
暴力団とのつながり
いわゆる「みかじめ料」(用心棒代のようなもの)を暴力団組織に払っていて、その金額が大きい場合に目をつけられて摘発されるというケースです。
脱税
脱税していることが分かって摘発されるというケースです。
ライバル店の密告
格安サービスなどを行って、あまりに儲け過ぎると、客足が遠のいた同じ地域のソープランドのライバル店から恨まれ、密告されて摘発されるというケースです。
警察のノルマ
警察には、年に何軒摘発するというノルマがある為、警察に協力して摘発された振りをするというケースもあるようです。
また海外からの批判を避けるために、オリンピックやワールドカップなどの海外からの渡航者が増える大きなイベントの前に摘発を行うということもあるようです。
まとめ
このようにソープランドで本番が可能とされているのは、実は時の政府の政策と法律との微妙なバランスの上に成り立っていると言えます。
ですから今後、2020年の東京オリンピックを前に大規模な摘発がある可能性は充分あります。
しかしシンデレラグループには、ソープランドはないので、売春防止法で禁止されている本番行為は当然ありません。
摘発される心配はありませんので、是非、安心して面接にお越しくださいね。