税金と確定申告について、前編では、確定申告の基礎知識、確定申告が必要な理由などを説明し、確定申告していないことが発覚した時に追徴課税などの不利益があることをお話しました。
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今回の後編では、確定申告のメリット、確定申告の方法について説明します。
確定申告のメリット
確定申告すると良いことがあります。
でもその前に、「確定申告したら色々バレるんじゃ…?」と不安ですよね。
・本業の勤務先に風俗勤務がバレそう
・家族に風俗勤務がバレそう
安心してください。
確定申告しただけでばれることはありません。
ちなみにマイナンバーからバレることもありません。
風俗店にマイナンバーを教えても、税務署経由で本業の勤務先にバレることはありません。
マイナンバーがあると税務調査する際に資金の関連性を把握することがスムーズになるというだけです。
また、確定申告すれば、下記のようなメリットがあります。
■節税効果
お店が源泉徴収している場合、確定申告すれば払い過ぎた所得税は還付されることがあります。
国民年金や国民健康保険など自分で払っているものがあれば、確定申告によってその分の金額が所得から差し引かれるので、所得税も低くなります。
■各種証明書の発行
確定申告していれば「所得証明書」「課税証明書」「納税証明書」を発行してもらうことができます。
こういった証明書は、住宅ローン、不動産賃貸、保育所入所の申請で提出を求められることがありますので、その際に役立ちます。
確定申告の方法
ここでは特に風俗嬢に関係する確定申告の記載項目について説明します。
確定申告の詳しい方法は国税庁のホームページなどで確認していただければと思います。
■業種
個人事業主としての業種を記入する欄には「サービス業」「接客業」と記入すればよく、「風俗嬢」ということは記入しなくて大丈夫です。
■支払者・売上先
申告書の「支払者」や収支内訳書の「売上先」には、風俗店の名前・住所は記入しなくて大丈夫です。
源泉徴収されている場合は、店の運営会社(アリバイ会社)の名前・住所を記入すれば大丈夫です。
源泉徴収されていない場合は、「一般消費者」と記入すれば大丈夫です。
店に「確定申告しないように」と言われている風俗嬢の方もいるかもしれませんが、確定申告したことが店に伝わる訳ではありません。
ただ、その場合は店が源泉徴収したお金を納税せずに着服などしているかもしれませんので、税務調査が入る可能性はあります。
しかしそうなるのは悪質な店な訳ですから気にしなくて大丈夫です。
■収入
「事業(営業等)」の欄にお給料として受け取った金額の1年間の合計を記入します。
源泉徴収されている場合には「支払調書」というものが発行される場合があります。
その「支払金額」を記入すれば大丈夫なのですが、これは発行の義務がないので多くのお店では発行していないと思います。
給与明細があれば、その合計金額で大丈夫です。
給与明細がなく正確な金額が分からない場合は推計(大体の金額)でも大丈夫です。
その場合、出勤日と勤務時間から大体の金額を出します。
普段から出勤日とお給料の金額は、スケジュール帳、接客ノート、パソコン、スマホなどに記録しておくといいと思います。
■経費
業務の為にかかった下記のような費用は経費として所得から差し引くことができます。
ちなみに「e-Tax」で電子申請する場合には領収書は不要です。
領収書がなくても経費として妥当な金額の範囲内なら税務署から細かく指摘されることはないようです。
・旅費交通費
電車・バス・タクシー代など通勤の為にかかった交通費。
・通信費
携帯電話代等。ただし、私用と兼用の場合は業務に使用した分のみ経費として申請できます。
その場合、正確には分からないと思いますので、出勤時間分の割合などにするのが一般的です。
例えば、4月(30日=720時間)の料金が10,000円で合計出勤時間が72時間なら1,000円を経費にします。
もちろん私用より業務で携帯を使用することの方が多ければ、もう少し多い割合でも大丈夫です。
その12月分の合計を経費として記入します。
・接待交際費
お客様へのプレゼント代等。
・消耗品費
洋服、下着などの衣類、化粧品などの美容品、潤滑剤などの備品等。
・雑費
美容院、エステサロン、ネイルサロンなどの美容費、避妊薬、性病検査費用等。
■控除
下記のような費用は所得から控除されます。
性病の治療などで医療費を10万円より多く払っている場合などは申告すれば控除でき節税になります。
・医療費(「10万円」または「総所得金額の5%」を超えた分)
・社会保険料(国民年金・国民健康保険など)
・生命保険料
・地震保険料
・寄付金(ふるさと納税など)
・住宅ローン
■住民税納付方法
副業として風俗で働いていて、本業の方で住民税が源泉徴収されている場合には、注意が必要です。
「住民税納付方法」という欄には「自分で納付」(普通徴収)か「給与から差引き」(特別徴収)を選択できるようになっています。
副業していることがばれないようにするには、「住民税の納付方法」を「自分で納付」にチェックします。
住民税は前年の所得によって決まり、税務署から「住民税決定通知書」が本業の勤務先に送られます。
この時「給与から差引き」にしていると副業も含めた所得によって計算された住民税額が通知されてしまいます。
そうすると本業の給料だけの時の住民税額より高いことから副業していることがばれてしまうのです。
■青色申告・白色申告とは
個人事業主の確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。
青色申告は、「青色申告特別控除」といって10万円または65万円の所得控除が受けられます。
これによって所得を低くできるので所得税も低くなります。
しかしその為には様々な書類を作成しなければならず簿記3級レベルの知識が必要です。
白色申告は、比較的簡単に手続きができますが、特別控除は受けられません。
税理士に相談したり、会計ソフトを使ったりしてでも青色申告をした方が節税になります。
風俗嬢のための税金と確定申告の基礎知識(後編) まとめ
このように確定申告をしても風俗で働いていることがばれる訳ではありませんし、節税効果や各種証明書の発行などのメリットがあります。
確定申告して税金を適正に納めることで、税務調査におびえる必要もなくなります。
また納めた税金が社会保障などに使われれば、将来の自分や自分の子供などの為にもなります。
自己満足かもしれませんが、社会の役に立っていると思えた方が精神的にも楽かと思います。
今後、風俗業界に対する税務調査が厳しくなる可能性もありますので、是非正しい知識を身につけて損をしないようにしてくださいね。