毎年2月16日から3月15日(土日の時は月曜日に繰下げ)は確定申告の時期です。
テレビやポスターなどでも有名人が「確定申告はお早めに」といった広告をしていますよね。
「確定申告ってよく分からないし自分には関係ないかな」と思っている風俗嬢の方も中にはいるかもしれません。
しかし本来は風俗嬢も確定申告する必要があるのです。
今回はそんな税金と確定申告について説明したいと思います。
前編では、確定申告の基礎知識、確定申告が必要な理由、
後編では、確定申告のメリット、確定申告の方法
について説明します。
確定申告の基礎知識
まずは確定申告やその関連する用語について説明しましょう。
■確定申告とは
「確定申告」とは、前年1年間(1/1~12/31)の収入や経費などを税務署へ「申告」して所得を「確定」させることです。
これによって次の年に払うべき所得税や住民税の額が決まります。
■源泉徴収とは
「源泉徴収」とは、勤務先が従業員に支払う給料から(暫定の)所得税を差し引いて、従業員の代わりに納税することです。
ちなみにキャバクラなどの水商売では、10%(※2013年から25年間は東日本大震災からの復興の為の復興特別所得税0.21%が加算されて.10.21%)の所得税の源泉徴収が義務付けられています。
■年末調整とは
「年末調整」とは勤務先が従業員の代わりに確定申告のようなことをすることです。
これによって所得税額が確定し、源泉徴収で多く払っていた場合は差額分が返金されます。
勤務先が年末調整をしていれば、従業員は確定申告する必要は原則ありません(勤務先の給料とは別の収入がある場合などは必要になります)。
■個人事業主とは
「個人事業主」とは、事業を行っている個人のことですが、風俗嬢は個人事業主になります。
お店は個人事業主である風俗嬢に業務を委託しているという形になるのです。
個人事業主は従業員ではなく勤務先が年末調整をしないので、自分で確定申告する必要があります。
確定申告が必要な理由
本来納税は自己申告が原則ですので、確定申告をしないと所得税を適正に払っていないことになります。
勤務先で源泉徴収されていなければ脱税していることにもなります。
今まで確定申告をしていなくても税務署・国税庁などから指摘されたことがないという人も多いと思います。
しかしそれはあくまでも運が良かったに過ぎないのです。
■無申告・脱税を指摘されない理由
無申告を指摘されなかったのは、おそらく下記のような理由があるからと推測されています。
・税務署・国税庁に余裕がない為
税務署・国税庁は他に優先すべき大型案件があるので、風俗業界の調査は後回しにされているものと思われます。
・風俗店が適正な所得申告をしていない為
国税庁の調査によると風俗店の約8割は適正な所得の申告をしていません。
まずは風俗店を調査することを優先していて、風俗嬢1人1人までは調査していないと思われます。
・風俗は警察の管轄の為
風俗は基本的に警察の管轄なので、税務署が踏み込んで税務調査するには色々と問題があり、よほどの金額でないと遠慮する場合もあると思われます。
無申告・脱税が発覚する原因
しかし中には風俗嬢の無申告・脱税が発覚した(ばれた)事例もあります。
ばれる原因としては、下記のようなものがあります。
・密告
ばれる原因として多いのは、知人・同僚・別れた彼氏などからの密告です。
国税庁のホームページからも匿名のメールで密告することができます。
風俗店の同僚の女の子に妬まれたり、風俗で働いているけど納税していないということを知人に話したりして密告されてしまったということもあるようです。
・住宅・高級車の購入
マンションや高級車など高額な買物をすると、納めている所得税額と釣り合わないということで税務調査が入ってばれてしまうことがあります。
・住宅ローン・保育所の申請
住宅ローンや保育所の申請などの際に提出を求められる所得証明などからばれてしまうこともあります。
・店の脱税
店が巨額(億単位)の脱税をしていた為に税務調査が入り、働いている女の子も調査されてばれてしまうこともあります。
■無申告・脱税が発覚した結果
無申告・脱税がばれると、下記のような不利益があります。
・税務調査
上記のような原因で目をつけられると税務調査が入りますので、そうなるとごまかすことはできません。
出勤日、接客数、銀行の預金残高、クレジットカードの利用履歴、持ち物など徹底的に調べられて大体の収入が把握されます。
大体の収入が把握できれば、「推計課税」といって実際のお給料の正確な金額が分からなくても、おおよその金額で課税することができます。
・追徴課税
脱税していることがはっきりすれば、本来払うべき税額はもちろん、無申告加算税・重加算税・過少申告加算税・延滞税などの金額が加算されて追徴課税されることになります。
これは通常は過去5年、悪質なら7年分まで課税される可能性があります。
年収が1000万円超などなら何百万円もの金額を一度に納めなくてはなりません。
マンションなどの資産があれば売らなくてはならないことになる場合もあります。
・家族バレ
親や夫の扶養に入っている場合、金額によって扶養から外れることもあります。
その結果、親に問い詰められて風俗で働いていたことがばれてしまうこともあります。
もちろん確定申告をしても扶養からは外れますが、あらかじめ「アルバイトやパートを始めるので自分で確定申告をする」と言っておけばばれずに済みます。
風俗嬢のための税金と確定申告の基礎知識(前編) まとめ
このように確定申告をしていないことが発覚すれば追徴課税で元々の税額より多く納めなければいけなくなり、家族バレの原因になることもあります。
確定申告しなければ、親の健康保険に加入できて、所得税も住民税も安くなります。
しかしそれが発覚してしまったら、それ以上に大きな不利益があることも理解しておいた方がいいと思います。
次回の後編では、確定申告のメリットや確定申告の方法について説明します。
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