※このコラムは、2024年12月12日に投稿した記事に追記および加筆修正したものです。
ここ最近、スカウトの摘発があわただしい動きを見せています。

新宿・歌舞伎町のホスト2人が、路上で声をかけた女性を風俗店に紹介してスカウトバックを受け取っていたとして逮捕された事件ですが、昨年12月に画期的な判決が下されました。
裁判所は、風俗店から受け取った紹介料(=スカウトバック)を初めて「犯罪収益」と認定したんです。
これまで悪質ホストが職安法違反容疑で立件されたことはあったのですが、組織犯罪処罰法違反として立件されたのは全国で初めてのこと。裁判所がスカウトバックを「違法な収益」と認定したというわけです。
これを受けて警察がますます本格的に取り組み、今年に入って匿名・流動型(トクリュウ)スカウトグループ「A」が摘発。Aグループから女性のあっせんを受けていた風俗店の経営者も逮捕される事態となりました。
他にも、巨大スカウトグループ「N」の摘発などが相次いでいています。
これはいよいよ、スカウトバック規制の導入も近いのか。ますます目が離せません。
スカウトバックってなに?
スカウトバックとは、スカウトマンが女の子を風俗店に紹介したときに、見返りとしてお店からもらえる報酬のこと。
大まかに説明すると「永久バック制」と「買い取り制」の2つのタイプがあるんです。
永久バック制
入店したキャストが在籍している間、売上の一部をお店からスカウトに支払うシステム。
買い取り制
紹介したときだけ、お店がスカウトに支払うシステム。
風俗業界の場合、「永久バック制」が多く取り入れられています。
一方、買い取り制ははキャバクラなどに多く見られるシステムです。
スカウトバックに規制が入る理由は?


近年、ホストクラブで借金(売掛金)を作ってしまう女の子が増えています。
担当の売上げに貢献するために高額なシャンパンとかを入れまくった挙げ句、法外な料金を請求されて、払いきれずに女の子がツケを抱えてしまう事例が社会問題になっています。
そのなかには、借金を返済させるために女の子を風俗店に入店させ、その紹介料としてホストが多額の見返り=スカウトバックを受け取るケースもあるんですね。
そこで、このスカウトバックを規制しようと風営法改正の動きが出てきたというわけです。
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スカウトバックに規制が入ると何が変わるのか
規制が入ると、ホストやスカウトマンが女の子を紹介する際の報酬体系が見直される可能性があります。
また、売掛金の取り立て方法も変わるかもしれません。
例えば「借金を支払わないなら実家に押し掛けるぞ」といった脅し行為や売掛金の強引な取り立ても規制対象になると噂されているんです。
さらには、スカウトバックを支払う側にも規制が入る可能性もあるとされています。
今まではスカウトバックをもらったホストやスカウトは罰せられても、支払った風俗店が取り締まりを受けることはありませんでした。
しかし、風営法改正後には新たな規制が盛り込まれて、お店も何らかの責任を負うようにするべく調整が進められているとか。
この規制により、スカウトバックに依存していた風俗店は競争力が低下するのではないかとも指摘されているようです。
もっとも、スカウトに頼っていない風俗店にはそもそも関係のない話なので、何の心配もらないでしょう。

スカウト関連の法律は現状どうなっている?
現在、スカウトに関しては下記の3つの法律および条例が適用されています。
・職業安定法(職安法)
・組織犯罪処罰法
それぞれについて、ざっと触れておきましょう。
迷惑防止条例違反
主に、路上スカウトに適用されることが多いです。
風俗店以外にキャバクラやAVなども、公共の場での不特定の者へのスカウトはすべて禁止されています。
例えば、東京都迷惑防止条例ではこう記載されています。
第7条 何人も、公共の場所において、不特定の者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(5) 次のいずれかに該当する役務に従事するように勧誘すること。
イ 人の性的好奇心に応じて人に接する役務(性的好奇心をそそるために人の通常衣服で隠されている下着又は身体に接触し、又は接触させる卑わいな役務を含む。以下同じ。)
ロ 専ら異性に対する接待をして酒類を伴う飲食をさせる役務(イに該当するものを除く。)
(6) 性交若しくは性交類似行為又は自己若しくは他人の性器等(性器、肛〔こう〕門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは他人に自己の性器等を触らせる行為に係る人の姿態であつて性欲を興奮させ、又は刺激するものをビデオカメラその他の機器を用いて撮影するための被写体となるように勧誘すること。
(7) 前2号に掲げるもののほか、人の身体又は衣服をとらえ、所持品を取りあげ、進路に立ち ふさがり、身辺につきまとう等執ように役務に従事するように勧誘すること。
職業安定法
職安法では、有害業務の紹介や募集を禁じています。
スカウトが紹介した先が有害な業務だと、職安法に違反するとして違法となります。
有害業務とは、風俗店(!)やAVなどを指すようですね。
職安法は、SNSでのスカウト行為にも適用されるのがポイントです。
《職業安定法63条》
次の各号のいずれかに該当する者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。
2号 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者
組織犯罪処罰法
ちょっと特殊な事例ですが、最近では組織犯罪処罰法が適用されることもあります。
上述したように、スカウト会社が風俗店に女性を紹介する行為は職業安定法違反となり、犯罪とみなされます。
そのため、スカウトマンがスカウト会社に女性を紹介する行為も
「スカウト会社が風俗店に女性を紹介することを知りながら」紹介料を受け取った
という理屈で犯罪収益等収受という罪に問われることがあるようです。
まとめ
ここ最近、スカウトに風当たりはますます強まってきていますね。
風俗で働きたい女の子は、スカウトのリスクも考えてみた方がいいかもしれません。
スカウトを使えば、スカウトマンの携帯(スマホ)に電話番号やLINEのIDなどの個人情報が登録されます。そのため、万が一そのスカウトマンが逮捕されるとあなたの連絡先も芋づる式にバレてしまうことに……。
考えてみたら、それってすごく怖くありませんか?
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